ブログ

2025.1.19

ランウェイは未知への滑走路

昨日1月18日はご招待をいただいてこちらへ。

「第154回上田学園コレクション2025」@グランフロント大阪北館コングレコンベンションセンター

80年余続く、日本有数の服飾専門学校の学生たちによる、100点を超える作品の発表。

時にプロの萌芽を思わせる洗練されたフォルム、時に破天荒な可能性の息吹を感じさせる大胆なデザイン。しかし、全体を通して裁断や縫製、knittingの技術の確かさが感じられ、さすが歴史ある服飾の専門校のコレクション、と思う。たつのレザーや播州織、泉州和紙製の布など、関西各地の産地素材とのコラボも興味深かった。

数あるアートイベントの中で、「パイオニア」(開拓者)の姿を最も鮮やかに感じさせてくれるのは、もしかしてファッションショーかもしれない。

衣服、という、人類の生活に欠かせない(衣食住というくらいだ)アイテムは、そのうちに「両極」をはらんでいる。

暑さ寒さをはじめとする外的刺激から身を守るという目的さえ達せればよし、という一方で、誰もが想像/創造しえなかった新しい表現を試みる場ともなり得る。

実用と芸術の両極を絶えず行き来する、不可思議な魅力に満ちた世界、服飾。

その意味で、ランウェイ(キャットウォーク)はまさに未知へと続く滑走路、その道は歩みを進めて初めて、目の前に道ができていく。

高村光太郎の詩ではないが、まさに

「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」

私がこどもの頃、近所に、気は良いがめっぽう口の悪いオッチャンが一人住んでいた(大阪の下町だった)。

ある時、このオッチャンがテレビか何かで「ファッションショー」を見た時のことを、こんなふうに描写していた。

「あれはえらいもんやなー、ナッガイ(長い)通路を、背のタッカイキレイなネエチャンが、変わーった服着て、腰振りながら歩いてきて、メンチ切りよる」

今日、上田学園コレクションを最前列で見る機会をいただきながら、数十年前に聞いたこの言葉がふと思い出された。

そうなのだ、ランウェイの先端でポージングを決めるモデルの眼差しは、something newを生み出すと決意した者の、世界に対しての大胆不敵にしてすこぶるエレガントな「メンチ切り」なのだ。

年明け早々、若い才能の弾(はじ)ける場に臨んで、大いに触発された一時でした。感謝、そして今日のクリエイターたち全員にHave fun and Good luck!!

(※今日の記事は01/19/2025のfacebookタイムラインと同じものです)

投稿者:Yamada Ryo